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ふと目について入ったお店。そこで売っている琥珀糖はどこか不思議で幻想的で―。香りと記憶にまつわるノスタルジー溢れるお話。
「お前はそんなに私の事が嫌いなのか?何にも私を満足させることもできず、ただただ食料を浪費するだけ…体だってなんら魅力的な部分はない…果たして婚約者として素質があるのだろうかなぁ…」
「…」
...
「私は自分の真意に気づいた…!これは無限の輪廻をも超越するような、新たな境地…!」
「…は、はい?」
彼の言っていることがかけらも理解できないのは、私の頭が悪いからだろうか?
...
「あら、これは懐かしいものが出て来たわね…」
自室の整理をしていた私は、机の奥から一つの手紙を取り出した。今の婚約者様と出会う前、私が初めて王都に来た時に受け取ったものだ。
私は懐かしいそ...
王子は、サリナと言う貴族家出身の婚約者がいながら、自身が目覚めた新たな境地にあるというレベリカとの婚約を強引にとりしきった。
臣下の者たちの反発こそ大きかったものの、この境地にある自分に逆らう...
「そうですか、それでしたら私は消えて差し上げます」
「え??え、ちょっと」
私がこんなに強気な発言をすることを予想していなかったのか、目に見えておどおどとした仕草を見せる婚約者様。…いや...
この婚約を押し付けられてからというもの、良い事なんて一つもなかった。
「やれやれ…こんなミスは子供だってしないぞ…いやそもそも、君は私の事を理解していなさすぎる。僕の好きそうなことくらい何故理解...
少し前に、私は唐突に婚約者からの婚約破棄を告げられた。
その男は新たな婚約者に、理由についてこう口にした。
「ナーレ、申し訳ない。私は君に期待をしすぎてしまったようだ。それは僕に非がある...
「以上が君へ伝えるべきことだ。何か聞きたいことはあるかな?」
「はぁ…」
いきなり私を自室へ呼び出してきたかと思えば、告げてきたのは婚約の破棄…
しかもそれだけではなく、相手がすでに...
「く、くそっ…このままじゃまずいぞ…みすみす婚約者に逃げられただなんて、こんなことが周辺貴族の連中に広まってしまったら…私の貴族人生も終わりだ…なんと情けない男だと後ろ指をさされるに決まっている…」
...
「じゃあ、これから北方領有地のゼルン領へ行ってくるから、ここでのことはよろしく」
この言葉を、果たしてこれまでに何度聞かされたことだろうか。
旦那様は、建前上は領有地視察と言ってはいる...
「お二人とも、ご婚約おめでとうございます」
私はただただ二人に対してお祝いの言葉を送っているだけなのに、凍り付いたような表情を浮かべる二人。
「…ま、まだ根に持っているのかよ…お前との婚...