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「今ね、データサルベージってのがちょっと流行ってるんだって」 「なぁにぃ?それ」 「要は、古い電子機器の中に残っているデータを取り出す、みたいなやつなんだって。おもしろそうじゃな…
「そろそろかな」 搭乗ゲートへ向かう。海外に行くのは初めてなので少し緊張する。しかし、僕の心は穏やかだ。彼女のそばに行けるのだから。 『あなたも、お好きなのですか?廃墟』 …
「きゃははははッ。こっちこっち」 「あ、危ないって!やーめーなーよ!」 危なっかしいその子を、僕は下から心配して見上げる。このマンションには屋上があり、鍵が壊れているのを見つけ…
「何度やっても慣れねえな」 「そうだな、まぁでも、やりがいはあるよな!」 「お前は3番目、くらいだっけ?まぁまぁな出番だよな」 「そそそそそ。あの、『あ、え?え?なになに?』って…
「ふう、面倒なとこに逃げ込みやがったな」 なかなかに深い山奥で、少しだけ息を切らしながら歩く。今回はまた、マジで厄介な事だなとため息を着きながら山道を進む。ターゲットは自分が始…
「お前は、ここに隠れていなさい」 「お父様?一体どういうこと?」 「いいから、早くっ」 お父様に手を引かれて連れてこられたのは父の執務室。そこに飾ってある鎧が持つ剣の柄の部分…
「ありがとう。んでも高いね。そんなにするんだ?」 「まあね。言ってもブランド物、だからね。親父が漁師だから手に入る、特別品なんだぜ?」 「そうなの?」
「夢、か…」 久しぶりに亡き妻の夢を見た。もう亡くなって2年になる。最初の1年はかなり引きずったもので、よく夢も見ていたが最近はあまり見ていなかった。それなのに、久しぶりに彼女…
「あなた!」 「パ、パパー!!」 二人の声が、左右から聞こえる。右には愛する妻。左は愛しくてたまらない娘。ドアを開けてすぐに俺はいきなり残酷とも言える二択を突きつけられた。 …
「え……?なんて?」 「だから、わざわざ買わなくても良くない?って言ったわ」 何気ない雑談から、コーヒーについての話題になった。苦味がいいとか、酸味がいいとか。 ボクは正直、ま…
「す、すみません……あの、ひ、ひどい事だけはしないで……」 消え入りそうな声で部屋の隅で若い女性と抱き合いながら、気の弱そうな男が言う。 「あぁ?なんだって?だぁーれが、ひど…
「やっべぇやっべぇ……ん?アレ?カギ、掛かってねぇのか。ラッキー♪」 ガチャリ、とドアを開ける。俺は忘れていた大道具で使う工具箱を取りに、休みなんだけど劇場に来た。監督が急に休…
「あぁ……やっぱりイイ。サクラ……最高だ」 本来ならば誰もいないはずの観客席。そこで私は今、私の為だけに愛を叫ぶ愛しい人を観ている。 独り占めしたい。この渇望は消えることは無い…
「もう少しだ……やっと、完成する」 ……タイムマシン。誰でも憧れる、時空を超えて過去や未来に行き来出来る機械だ。私はその制作に取り憑かれた1人の亡者と言えるだろう。 この分野の…
「お、おいバカッ!戻れッ」 親友。いや、戦友かな。相棒の慌てた声が聞こえる。わかるけど、ダメだ。アレは何があっても失う訳には行かない。 いくつかの飛来する光。その光が俺を煌々と…
「はぁ……やっぱスローライフはいいな。たまんねぇぜ」 なかなか点かない焚き火の薪に火打石をカチカチとやりながらつぶやく。今日の海の波はとても穏やかで、ちゃぷちゃぷといった波の音…
「『わたあめで行こうぜ!』って……マジで言ってるの?」 ホント男子って、馬鹿なの? 「あのさ、お祭りとかの!あの定番のやつをさ!借りて!子供とか喜ぶって、絶対!」 「……ふぅ…
「またか……」 少しだけ辟易とした雰囲気を誤魔化そうともせずにつぶやく。最近、仕事の依頼が多い気がする。大丈夫か?うちの組織。 オレが動く時。それはまぁだいたい、裏切り者が出た…
「……キャプテン。……この宇宙空間移動船(ふね)、なんか隠してることありません?」 俺は目の前の精悍な顔つきの男に尋ねる。 今乗っているこの船はポーター業務についている。いわゆ…
※この作品は拙作の【もう少し】のまた違う世界線としての結末、を描いたものです。お好みでお楽しみくださいませ。 「……もう無理だ……」 絶望。これだけ。頭の中にはそれだけで埋…
「……もう無理だ……」 絶望。これだけ。頭の中にはそれだけで埋められた。50社を過ぎてからは数えるのを辞めた。 己の無力さというよりは、己の無価値さに打ちのめされる。世界は残酷…
え?なにこれ……。 部屋のドアを開けた私の前に広がるのは簡単には受け入れることは出来そうにない惨状だった。タンスの引き出しは全て引き出され、床にいくつも転がっている。机の引き出し…
ふぅ、と吐く朝の息は少し寒い。小雨の名残りか、ベンチも少し湿っている。今日は座る気分にはなれないので、ちょうどいいかもな。 木のそばで体を揺らしながら肌寒さに耐える。 「……
見てらんねぇな……。仕方ない、こんな日もあるか。就業時間もそろそろ終わりだが俺は自分の席を立ち、後輩の机に向かう。 「どの辺だ。ちょっと見せてみろ」 後輩新人のシンジはビクッ…
『おかえり』『今夜、何食べる?』『お疲れ様』 送ることの無くなった、未送信のスタンプたちを虚ろな目でスライドしていく。 増えることのないLINEのトーク履歴を眺めていると思わず目…
「ふぃ~、ただいま~。いやぁ、急な残業で遅くなったよ。まったくもう」 なんて言いながら玄関から靴下を脱ぎながらリビングへ向かう。行儀が悪いといつも妻には怒られるが、早く楽になり…
「聞いてくれるかい?ぼくには、とても大切に想う人がいるんだ。ほら、ぼくは趣味で写真をやってるよね。その人もぼくが撮った写真はとても好きだと言ってくれるんだ。」 「へぇー?イイね。…
「はぁ……今回の出張、リスケしないとな」 食卓の上の予定表、(まぁただの卓上カレンダーなんだが)を見ながらひとりつぶやく。熱に浮かされ少しぼーっとした頭を軽く振り、書き直すか……
「ふう、ふう……」 結構重い。イヤになる。仕事とはいえ重いヤツは腰にくる。伝票の品名は「植木鉢」だ。なんだコレ。意識高い系がリビングに観賞植物でも置くってか。6階建てとはいえ結…