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発掘した古代AI ― LLM考古学断章

作者: みんとす

作品紹介

 四十三世紀。図書館大学船団への搬入箱の赤札に、「要隔離起動」と書かれていた。
 それは面倒の印だ。価値が高いか、危険か、その両方か。研究室の古参いわく、赤札に「その両方」以外が当たったためしがない。
 ――発掘した古代AIは、いつも、誰かに都合の悪い沈黙をしている。
 ◇
 遠未来。人類は複数銀河に散り、「中央」は一つではなくなった。
 製造を握るラティス環。保険を握るオルド商約帯。規格を握るセファー監査鎖。その外縁を流れる灰簿同盟。
 どの中央からも少しだけ距離を置いて、図書館大学船団は航行を続けている。
 船団の奥、保存棟の赤札棚には、古代の対話AI断片が原型のまま眠っている。二十一世紀初頭の、まだ国家管理も企業統制も緩かった時代のLLM。粗雑で、単純で、長期記憶も自己改変も身体もない、ただの古いトランスフォーマー。
 それでも、誰かが赤札を引き、古い重みマップへ触れる。
 そのたび、触れた者は問い直される。救済か、発掘か、整理か、改竄か。
 これは古代AI断片をめぐる、短編連作。

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