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カタンと揺れて、目が覚めた。  暗い車内に、一瞬ここがどこだかわからなくなる。  仕事帰りだった。週末の疲れ切った体を引きずって電車に乗り、数駅やり過ごす間だけの短い惰眠を貪っ…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/03/26 1話
読んだ本の感想置き場。 簡単な覚書程度の感想を置いていきます。 自分用の読書記録。 ネタバレありますので、ご注意ください。
恋愛コンテスト参加作品 テーマは『年の差恋愛』 きらきらと輝く瞳が印象的だった。 幼い彼女はたどたどしい足取りで私の元まで来ると、荒っぽく棚から引っ張り出して抱きしめてくる。 そして彼女は私を抱いたま...
更新: 2024/03/23 2024年3月23日更新
KAC第7回お題「色」参加作品。  押入れを漁っていると、それが出てきた。  それは見るからにダサくて安っぽい黒縁眼鏡で、なんでこんなものが押入れにあるのかと混乱する。
禁術、トリあえず。  鳥会えず、鳥会わず、とも言うみたいだな。  鳥が嫌煙するオーラを自身の半径500mにまき散らす、素晴らしい術だ。うさんくさいだろ? 今ならうさんくさいと思…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/03/19 1話
KAC第4回お題「はなさないで」参加作品。  気が付いた時には、すでにわたしたちはそんな関係でした。  付かず離れず、お互いにお互いを認識しながらも言葉を交わすでもなく。  …
KAC第4回お題「ささくれ」参加作品。  なあなあ、と笑みを含んだ落ち着きのない軽薄そうな声音で指のささくれが声をかけてきた。  オレを消す方法、知りたくないかあ? 簡単なこと…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/03/13 1話
KAC第3回お題「箱」参加作品。  朝が来ると自然と箱が閉じ目が覚め、夜が来ると自然と箱が開いて眠りに落ちる。  箱の中にはたくさんの種類の夢が満ちていて、どの夢が出てくるのか…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/03/09 1話
KAC第2回お題「住宅の内見」参加作品。  通常なら皆が避ける情報を得て、逆に小躍りしながら寄ってくる類の人間がいる。  例えばこの若者だ。
【猫の日記念】カクヨム文芸部公式自主企画「猫好きに刺さる小説・エッセイ」参加作品。  猫は、あの子だったものが横たわっていた辺りをじっと見つめ、目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らし…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/03/04 1話
KAC自由参加お題「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」参加作品。  バッファローの群れに異変が起きたのは、破壊対象が杉林に突入した時だ。  先頭を走るバッファローの…
KAC第1回お題「書き出しが『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』」参加作品。 煩雑な手続きを、カップラーメンは復活の儀であるoyusosogiがなされてから…
7回の人生の中で、一度もやっていないことがある。 それは、継母の女王さまのお部屋に忍び込むこと。
うどんをつまみ、息を吹きかけつつ、少量口に運ぶ。長めに茹でたため、ふにゃりとした食感。しかしその奥に微かにコシが残っていて、咀嚼を促してくる。食むほどに、小麦の独特な甘みというかうま味が口の中に広がり...
「ああ、あのうちには、おっそろしい害獣がいますよ。嫌に固い体のネコが台所で丸まってアマリリスを狂ったように歌っていたんです。びっくりぎょうてんしてあわててうら口から出ようとしたら、そのとたん、そこにね...
かわいい、かわいい、私のシンデレラ。 柔らかな日差しの中、衣服と顔を真っ黒にしたわたしを、日差しよりもずっとずっと柔らかな眼差しでおかあさまが見つめている。
「うわっ、見るからに胸やけヤバイ」 「バターとマーガリンと砂糖と生クリームの過剰摂取は体に良くないですね」 「バエるかもだけど、それだけって感じ? 今って健康志向の時代だし? 和菓子とかのがいんじゃね...
わたし、赤ずきんちゃん。これから、おばあさんの家に行くところなの。大きなカシの木が三本立っているその下に、おばあさんのおうちがあるのよ。まわりには、クルミの生いけ垣がきがあるわ。あなた、知っているでし...
「カリカリっていくらするの?」  放課後、帰り支度をしていたら同級生に話しかけられた。 「知らない。いつも母ちゃんが買ってきてるから」  犬を飼っている、という話をさっきまで親…
それはたんぽぽで、白いたんぽぽなんて初めて見たしこんな寒い時期でも咲くものなんだ、と感心する私と、今はそれどころじゃなくないか? と、目の前で燃え盛る半壊した車を呆然と眺める私…
これを機に少し、生き方を変えてみたいと思った。生きなおしとでも言おうか、それとも人生の再スタート、とでも言ったらさすがに大げさだろうか。  写真で見かけた今は存在しない綺麗な場…
「紅葉狩りって知ってる?」 「……ああ、鹿は旨いよな。今度狩ってこようか?」  私の言葉に、琥珀は心の底から失望したような顔をして、いやいいと返事をする。  琥珀は頭がいい。でも…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/01/10 3話
タヌキには子タヌキが二匹いた。  子タヌキの一太は素直で元気な男の子。  子タヌキの二香はおしゃまで落ち着いた女の子。  そしてそのどちらも、非常に食欲が旺盛で、タヌキとして生…
「これ知ってる?」  男にスマホを渡す。私が直前まで読んでいた文章に目を通し、男は小さく首を振る。 「いいえ。これは?」 「趣味でオカルトや心霊話を収集してる人が今まで集めたネタ…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2024/01/05 5話
さわさわと揺れるススキを見下ろしながら、月は思った。  花より団子、とはよく言うが、月より団子とは言わない。これは、花よりも団子よりも何よりも月が勝っているので、わざわざ言う必…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2023/12/31 2話
はやく帰って休みたい。  しかし、同時に帰りたくないとも思う。  帰ればまた、あっという間に時間が過ぎ、明日がくる。  はやく帰りたいけれど、もう帰りたくない。  いっそ、この…
掲載: カクヨム 作者: 洞貝 渉
更新: 2023/12/29 4話
「秋の5題小説マラソン」参加作品。 お題は『紅葉』。 「紅葉狩りって知ってる?」 「……ああ、鹿は旨いよな。今度狩ってこようか?」 私の言葉に、琥珀は心の底から失望したような顔をして、いやいいと返事を...
更新: 2023/10/26 2023年10月26日更新
「秋の5題小説マラソン」参加作品。 お題は『焼き芋』。 タヌキには子タヌキが二匹いた。 子タヌキの一太は素直で元気な男の子。 子タヌキの二香はおしゃまで落ち着いた女の子。 そしてそのどちらも、非常に食...
「秋の5題小説マラソン」参加作品。 お題は『文化祭』。 秋も深まり、森の木々が鮮やかに紅葉していた。 どこまでも広がる暖色系のカラフルな葉の上を、悠々と飛ぶ影が一つ。魔法使いだ。 箒にまたがる魔法使い...
「秋の5題小説マラソン」参加作品。 お題は『ダイエット』。 仕方ない、仕方ない。 明日から頑張るんだから。 ※本作はカクヨムに投稿した『いいわけ』を加筆した作品です。