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そのカブを抜いてはいけない

作品紹介

誰もが知るあの温かい昔話には、決して語られてはならない「真実」があった――。 ​周囲を険しい山々に囲まれ、外界から隔絶された「根曳(ねびき)村」。 そこには「決して鍬を入れてはいけない」とされる、おびただしい血を吸ったような赤黒い土の裏山があった。 認知症を患い、亡き家族の幻影を見るようになったおじいさんは、ある日、何かに導かれるようにその禁忌の土へ奇妙な「種」を植えてしまう。 ​翌朝、そこには家ほどもある巨大なカブが、ドクン、ドクンと脈打ちながら育っていた。 ​「これは、抜いてしまわなければならない」 頭の中に響く声に操られるように、おじいさんはカブを引っ張り始める。 おばあさんが、孫娘が、犬が、猫が。狂気が伝染するように、一人、また一人と無表情で列に加わっていく。爪が剥がれ、関節が外れるのも構わず、彼らは一心不乱に引き続ける。 ​「うんとこしょ……どっこいしょ……」 楽しげだったはずの掛け声は、血を吐くような呪詛のコーラスへと変わる。 そして、土の中から最後の使者である「ねずみ」が這い出してきた時、取り返しのつかない真の絶望が目を覚ます。 ​彼らが「カブ」だと思って引いていたものは

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