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海に沈んだ手紙だけが、明日の災厄を知っている

作者: もなか

作品紹介

港町ラングーンの沖、誰も入れない霧の海の底には、王国の地図にない施設がある。
その名は、海底郵便局アズール支局。

そこで働く青年ユノは、回収された“沈信”を仕分けるだけの下級局員だった。
沈信とは、海で失われた手紙。届かなかった想い。
普通の局員には宛先と差出人しか読めない。だがユノは違う。封を切った瞬間、その手紙が本来届くはずだった時刻の、未来の断片が見えるのだ。

「三日後、この灯台は燃える」
「この結婚式は祝福では終わらない」
「王都に届くはずの和平書簡は、すでに海の底にある」

誰にも信じてもらえない未来。
届けるたびに、自分の記憶がひとつ消える代償。
それでもユノは、海に沈んだ言葉を拾い上げる。

なぜなら彼自身もまた、
“誰にも届かなかった一通の手紙”から始まった人間だったから。

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