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凶のおみくじから始まる北方港町の灯恋文

作者: 乾為天女

作品紹介

 王都の祈祷院で願文師見習いとして働く子爵令嬢アヌッカは、継母ベルノアに便利な手として使われながら暮らしていた。年明けの日、恋愛運最悪の凶のおみくじを引いた直後、婚約者セルギオに人前で婚約破棄され、北方港町ルーンサンドへ臨時派遣される。そこは月食の夜に願いを灯へ変える月種を守る土地だったが、近年は願文が不自然に「美しく整え」られ、本来の力を失いつつあった。
 港を治める若き侯爵ロイトは、冷たいほど無口で厳格だが、誰より早く灯の異常に駆けつける男だった。アヌッカは食堂娘アレン、仕立て役ハウケア、香草屋マグブラ、温室番エフィジェニオ、側近ポリミリスらと関わる中で、この町では立派な言葉より「家族と食卓を囲みたい」「一人も欠けずに朝を迎えたい」といった生活に根ざした願いこそが大切にされていると知る。
 やがて王都から現れた令嬢リディベルと元婚約者セルギオの暗躍により、願文の改竄と月種の妨害がベルノアの指示で行われていたことが明らかになる。月食の夜、アヌッカは港の人々の本当の願いを読み上げ、眠っていた月種を目覚めさせ、ルーンサンドの灯を取り戻す。
 王都で削られ続けた自分の言葉を、この港町でよう

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