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「母の料理帳は妹の手柄にする」と言われたので、台所の鍵を返して私の名を外しました ~私を追い出した伯爵家は、王宮晩餐会の火を失う~

作者: 花守りつ

作品紹介

伯爵令嬢リディアは、亡き母の料理帳と台所を守り、家の晩餐会や病人の食事を支えてきた。けれど父は、王宮晩餐会の前夜に言い放つ。「母の料理帳は妹マリベルの手柄にする。お前は婚約者も台所も妹に譲って修道院へ行け」と。

料理帳はただの紙束ではない。リディアが毎朝署名し、火を起こし、食べる人の体調に合わせて整えてきた仕事そのものだった。それを奪われれば、母の名も、自分の仕事も、居場所もなくなる。

リディアは泣き崩れなかった。台所の鍵を返し、母の料理帳の火の欄から自分の名を外して伯爵家を出る。すると、伯爵家の台所では火が通らず、王宮晩餐会の料理も病人の薬粥も作れなくなっていく。

雨の王都で行き場を失ったリディアは、小さな人助けをきっかけに北門施療院で料理人として迎えられる。そこでは、彼女の料理は「気味の悪い家の技」ではなく、傷病者を支える必要な仕事として扱われた。

一方、彼女を捨てた伯爵家はようやく気づく。失った令嬢こそが、自分たちの晩餐も契約も信用も支えていたのだと。

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