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運送屋の事件簿① 復讐

作品紹介

 堀田正俊は怒った。またまた、三歳しかちがわない、厚木電装本社工場生産部、生産管理課の荻原重秀生産管理係長が、ご託を並べたてて、理不尽なことを言いはじめたからだ。
「そこまで言うなら、係長が営業すればいいですよ。俺が上に掛け合います。ぜひ、営業方法を教えてください」
 荻原重秀係長の前で、堀田正俊はそう言い切った。
「なんだと!」
 叫ぶやいなや、荻原重秀は堀田正俊のスーツの襟をつかんで締め上げた。そして一瞬に右手をうしろへ引き、拳を堀田正俊の顔面に叩きつけた。
 と思ったら、堀田正俊の顔がすっと右へ動き、荻原重秀の拳は堀田正俊の右頬骨をかすって堀田正俊の頬の皮膚に血をにじませ、そのまま空を切って左へ流れた。
 同時に堀田正俊の右拳が荻原重秀の胃に炸裂し、さらに左拳が荻原重秀の右顔面へ強烈にヒットした。
 ふたりの行動は一部始終社内カメラで記録されていた。一方的に荻原重秀に非があったが、厚木電装は堀田正俊の過剰防衛を主張し、堀田正俊に九州支社へ転勤を命じた。
 堀田正俊は弁護士を立てて訴訟すると言って会社側に掛け合った。
 厚木電装は、荻原重秀の不祥事が世間へ広まるのを恐れ、堀田正俊に

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