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【完結済】『氷見坂さんの本音実況が俺だけに聞こえる』――ただし、主語だけがない。

作者: 宿院

作品紹介

高校二年の灯里颯太は、実家の定食屋で鍛えた観察眼だけが取り柄の目立たない少年。人の空腹も嘘も読めるが、「自分が誰かに好かれる可能性」だけは最初から勘定に入れない。放課後の事故をきっかけに、颯太の頭には学年一の美少女・氷見坂葉月の感情実況が流れ込むようになる。だが実況には、なぜか主語だけが存在しなかった。

「好き」「尊い」「今日も生きててありがとう」

誰のことかは分からない。颯太は「葉月には別に本命がいる」と誤解し、学校中の男子を観察して相手探しを始める。弁当も、名前呼びの練習も、買い物も、手をつなぎかけた瞬間も——すべて葉月は颯太に向けているのに、颯太は状況証拠を都合よく組み替えて読み違え続ける。
葉月の無表情は演技ではない。中学時代、曖昧な言葉に周囲が勝手な主語をつけ、関係を壊された過去から、彼女は「主語のある感情」を口にすることそのものを怖がっている。颯太の優しさを「全部分かってくれている」と誤解し、依存を深めていく葉月。だが文化祭実行委員長・神代司が彼女を「氷の女王」という役割に固定しようとしたとき、実況は「助けて」と叫んだきり、消える。

答え合わせを失った颯太は、初めて間

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