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カルローナ物語

作品紹介

 この地にいた人々は獣同然の知性しかなかった。創造した神は身を隠し、導くものを失った人々は新たなる発展を失ったのだ。そんなある時、彼らのもとに降り立ったのが六名の神の代弁者を名乗る神使であった。神使はそれぞれ同じだけの人を分け合い、それぞれで導き始める。そうすると人々は瞬く間に、進化と呼んでも良いほど成長した。新たな幸せを人々が噛み締めていた時、山脈の方から薄暗く、重苦しい溶けた鉛のような怨嗟が地響きのように伝わる。その正体は悪魔だった。
 神使は人々に、道具を作る技術、知識、魔術、呪いの力を与え、悪魔に対抗させた。そしておよそ百年に及ぶ流血の年月の後、神使が身を隠してしまった。人々は悟った。神使はその身を犠牲に我らを救ったのだと。人々は復興の合間に教会を建て、神使を神のように崇め奉る。
 そんな神話の時代から数百年か数千年か。掠れた偶像への信仰と絶え間ない欲望に埋もれた人々は、血を流す相手を同族へと変えていた。
 これは、神を失った人々の暮らすカルロ―ナ大陸で起きた物語の記録である。

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