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木塊

作品紹介

 わたしは一度死んでいるのかもしれない。
 もちろん現時点で生きているのだから、普通ならば死にそうな目にあったと言うのだろう。
 ではコンビニの近くにいるアレは何だ。

 わたしは二十年近くを何不自由なく生きてきたが、霊感が強いと感じたことはない。 
 どちらかといえば弱い方で、暗闇で脅かされれば吃驚するが、それだけだ。
 臆病者の生理反応が生じるに過ぎない。

 それが約一週間前を境にガラリと変わる。
 二六時中ではないが、見えないものが見えるようになる。
 もっとも他人の視るものなどその他人以外のどの他人にもわかるはずがないので、わたしがおそらく自分以外の他人たちに見えないと思っているだけだ。

 その件について、わたしが見知らぬ誰かに問いかけたことは一度もない。
 ワインカラーかスモークグリーンのジーンズを履き、紫色のリュックサックを背負った人付き合いの悪そうな女が、実は頭まで可笑しかったと判定されるとわかるからだ。

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