「絶対勝利の呪」
ありとあらゆる困難に対し、どんな形でも勝利するという、忌まわしき能力。

　来外里　在人（コトサト　アリト）の人生は、小学校から中学校までは、楽しいものだった。おおくの友人に慕われたし、運動会でもドッチボールでも敗北というものを知らない。その気になれば、ジャンケン、くじ引きだって、負けやしない。
　そんな彼が、初めて敗北を味わったのは、高校受験だった。一流の学校に受かった友人たちと、三流の学校でくすぶる在人。彼はじんわりと、高校受験での敗北を感じた。
　
　その次の瞬間。

　気づいたら、在人は、一流の高校の制服を着て、その高校の教室に座っていた。
　なんと、高校受験に失敗したはずの自分の人生が、一流の高校に受かった人生へと書き換えられていたのだ。
　だが、書き換えられたその人生は、多くの同級生にいじめられ、勉強以外やることがなかった結果、一流の高校に受かったという、悲しい人生だった。

　友人たちと楽しく過ごした過去を失いたくない彼は、やがて「妖怪の力を使える」という、ひとりの少女と出会った。
　
　そして、彼は自分の身に宿る、世界を滅ぼしかねない、最強最悪の能力を