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異世界ロボット剣風奇譚 バルディアの魔動機兵

作者:

作品紹介

 春の国の御前試合のルールは、しごくシンプルなものである。

 対戦者は、武具とともに一リーグ四方の闘技場へと入堂する。

 その際、持ちこむ武具には一切の制限がない。
 ゆえに昨今は、戦場の花形である使役魔獣を連れ物にする者が多い。

 だが、今大会の初日。第一試合。

 北門より入堂した革鎧の少女は、その連れ物の異様さで、とびぬけて観客の注目を集めた。


 それは、まさに、漆黒の巨人であった。
 見上げるような体高は、戦象にも匹敵するだろうか。
 振る腕、踏む脚。分厚い胴まわり。鉄兜のような頭部も背中も、たなびく長大なマントも、全てが漆のように黒い。

 それは自ら動く巨大な甲冑と言えて、肩のマントの中に両手剣が覗く。

 
 見上げてかたわらを歩く革鎧の少女は、微笑みながら、その巨人の双眼に微笑みながら何かを楽しげに語りかけている。

 まるで、これから生死をかけた試合が始めるとは思えない表情だ。

 その様子は観客の目に、飼い慣らした夜を太陽の下、少女が連れだしてきたように見えた。

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