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捧げる供物には、もうなりません
掲載: 小説家になろう
作品紹介
彼女には、自分のものが、何ひとつなかった。
魔力も、名前も、これからの一生も。
すべて、この国に捧げるためのものだった。
真夜中の祭壇は、いつも氷の匂いがした。
甘いものの味さえ、彼女は知らずに育った。
そんな夜を、もう何年も繰り返してきた。
祈りの光は、いつも決まった高さで濁る。
その濁りに気づいているのは、彼女だけ。
神聖なものだと、誰もが信じて疑わない。
ある夜、異国から来た男が、その光を見上げた。
そして、誰にともなく、低く呟いた。
これは祈りなどではない、と。
その一言が、彼女の胸に、棘のように刺さる。
わたしが捧げてきたものは、何だったのか。
尊い務めだと、ずっと教えられてきたのに。
男は、彼女を供物としては見なかった。
削られるための器としてでもない。
ただ一人の、対等な相手として向き合った。
生まれて初めて、彼女は思ってしまう。
わたしにも、欲しいものがあるのかもしれない。
わたしの一生は、わたしのものなのかもしれない。
奪われてばかりだった少女が、初めて、自分の意思で動きだす。
その先で、彼女が何を選ぶのか。
それを決めるのは、もう、彼女自身だけだ。
魔力も、名前も、これからの一生も。
すべて、この国に捧げるためのものだった。
真夜中の祭壇は、いつも氷の匂いがした。
甘いものの味さえ、彼女は知らずに育った。
そんな夜を、もう何年も繰り返してきた。
祈りの光は、いつも決まった高さで濁る。
その濁りに気づいているのは、彼女だけ。
神聖なものだと、誰もが信じて疑わない。
ある夜、異国から来た男が、その光を見上げた。
そして、誰にともなく、低く呟いた。
これは祈りなどではない、と。
その一言が、彼女の胸に、棘のように刺さる。
わたしが捧げてきたものは、何だったのか。
尊い務めだと、ずっと教えられてきたのに。
男は、彼女を供物としては見なかった。
削られるための器としてでもない。
ただ一人の、対等な相手として向き合った。
生まれて初めて、彼女は思ってしまう。
わたしにも、欲しいものがあるのかもしれない。
わたしの一生は、わたしのものなのかもしれない。
奪われてばかりだった少女が、初めて、自分の意思で動きだす。
その先で、彼女が何を選ぶのか。
それを決めるのは、もう、彼女自身だけだ。
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更新情報
- 2026/06/02 全12部分
