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第三話『錆びた鍵、縛られた私』

作者: 夏海ひろ

作品紹介

【内容紹介案】

女装子「夏海ひろ」が、自ら依頼した三度目の緊縛撮影。
今回の舞台は、ひろ自身が選んだ廃墟を模したスタジオ――かつて営業していた建物を、今は撮影用に貸し出している場所。埃の舞う床、剥がれかけた壁、ひび割れた窓。そこに漂うのは、時間に取り残されたような静けさ。
「もしも誘拐され監禁されるとしたら、こんな場所かもしれない」
そんな妄想と背中合わせで、ひろは白いタートルネックとベージュのスカートという上品な装いに身を包み、縄師の手によってゆっくりと、その輪郭を縛られていく。

背中で高く縛られた手首、胸元を締め上げる三重の縄、そして腰に沈む静かな枷。
膝、足首、太腿――全身が麻縄に絡め取られていくたび、ひろの意識は静かに、深く沈んでいく。
縛られ、撮られることで、自分が“存在”として輪郭を得ていく。
やがて白い猿轡がその口を塞ぎ、動けない身体は椅子に沈み、息づかいすらも麻縄に記憶されるように縛められていく。

拘束のなかでしか触れられない静けさ。
解かれたあとの肌に残る縄跡は、痛みではなく、静かに刻まれた「痕跡」。
撮影を終えた帰り道、ひろは思う。

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